ニュースで配偶者控除が150万円に、なんて話は聞いたことあるけど本当に150万円まで稼いでいいの?手取りが1番増える金額は?いくら働くと何のお金が引かれるの?
誰も教えてくれない税金や社会保険の話を会計事務所で働く私が教えます。働きすぎちゃった!なんて人は12月のシフトで上手く調節して下さい。
【重要】この記事に当てはまる人
税金や社会保険の話は色々な状況によって変わってしまいます。そのため、まずは自分が以下の条件に該当するか確認して下さい。
扶養に入りたい側の方が読んでいると仮定して書いていきます。
大前提:夫の扶養に入りたい妻である
(妻の扶養に入りたい夫でも可。その場合は夫→妻、妻→夫と読み替えて下さい)
※親の扶養に入りたい、夫の扶養に入れないくらい正社員でバリバリ働いているという方はそもそもこの記事には当てはまりません。
- 夫の所得が900万円以下(給与収入なら1120万円以下)
- あなた(妻)のパート先は大企業ではない(従業員500人以下)
- あなた(妻)の収入は給与収入のみである
- あなた(妻)の年齢が70歳未満である
この5つの条件(大前提含)に当てはまる方を対象とした記事になっております。
夫の所得が900万円超だとどうなる?
2018年の制度改正で夫の年間所得が900万円(給与収入なら1120万円)を超える場合、受けられる配偶者控除の金額が減りました。
900万円以下(給与収入1,120万円以下)・・・最大38万円
900万円超950万円以下(給与収入1,120万円超1,170万円以下)・・・最大26万円
950万円超1,000万円以下 (給与収入1,170万円超1,220万円以下)・・・最大13万円
1,000万円超(給与収入1,220万円超)・・・控除なし
パート先が大企業だとどうなる?
まずはあなたのパート先がこの条件に当てはまるかチェック
- 勤務時間が週20時間以上
- 勤務期間が1年以上見込み
- 勤務先が従業員501人以上の企業
- 学生以外
以上の4つに当てはまる場合、年間106万円以上働いてしまうと社会保険に加入になってしまいます。(休日の割増賃金、ボーナス、通勤手当、臨時手当、家族手当などは社会保険加入判断における収入には含まれません。)
中小企業で働いている場合とは社会保険加入の判断とは基準が変わりますので、パート先に確認して、社会保険に加入になるギリギリ手前まで働くのが良いと思います。
※私が以前アルバイトしていた住友商事の子会社では月に120時間以上働いてしまうと、年間の収入に関係なく社会保険加入というルールになっていました。このように、大企業だと独自のルールを設定している場合があります。
給与収入以外の収入があるとどうなる?
そもそも夫の扶養に入れるかどうかは、"1年間の所得"の金額で決まります。
収入と所得という言葉は似ているようで、全く意味が違うのです。
この2つの言葉がポイントになります。
給与収入のみの場合、所得計算の方法は固定されているので収入がわかれば所得がわかります。そのため「給与収入が○○円なら所得××円なので扶養に入れますね」とアドバイスができます。
しかし、不動産を持っていたり、アフィリエイトなどの事業をしていると、その運営にどれだけ経費がかかったか、で同じ収入でも所得の金額は全く変わってきます。
収入だけではアドバイスができませんし、所得は自分もしくは税理士などに依頼して計算をする必要があります。
そのためこの場で分かりやすくアドバイスするには少々ハードルが高いので、詳しく知りたい方はお近くの税理士などにお願いしてみるのが良いと思います。
妻の年齢が70歳以上だとどうなる?
この場合は少しおトクです。
扶養に入る人の年齢が70歳以上だと控除の金額が上がります。
ご高齢の方はあまり見ていないと思うので割愛します。
130万円以上働くのは間違い!?
お待たせしました。
上の条件に当てはまったあなたが一番手取りを増やすならいくらがよいか?
それは年収130万円未満です。
難しい話をするつもりはないので細かくは説明しませんが、今まで38万円の控除を受けるにはいわゆる「103万円の壁」と呼ばれるラインがありました。
これはご存知の方も多いと思いますし、"年収103万円以下に"と意識して働かれていた方も多いのではないかと思います。
しかし、女性にもっと働いてもらおうと、国はこの103万円の壁を150万円まで引き上げました。
ただ、これはあくまでも150万円まで働いても"夫の所得"の扶養控除が最大の38万円利用できるというものです。
妻にかかる税金や社会保険料
難しいですね。色々混ざると良く分からないと思うので、とりあえず今までの話は全部忘れて下さい。
今度はあなたのお給料がいくらになると、どんなお金がかかるのかというお話をします。
住民税
年収100万円を超えた翌年に住民税と呼ばれる税金がかかります。(住んでいる地域によって多少金額は異なります。)
例
札幌市に住む30歳の方がパートで年間110万円稼ぐと14,000円程度の住民税が翌年にかかります。
年間130万円稼ぐと34,000円程度の住民税が翌年にかかります。
課税されるかどうかギリギリまでしか働かないのであれば、100万以下で働くのが良いと思いますが、大きく超えてしまった方が手取りは増えます。
所得税
もちろん夫だけではなくあなた(妻)にも所得税はかかります。
所得税は年収103万円を超えるとかかります。
月収88,000円を超えると一旦、お給料から天引きをされます。給与明細を見ていただければいくら天引きされているか、というのがわかります。
一度は強制的に取られるのですが、年収が103万円に満たない場合には年末もしくは年明けの給与で引かれた分が戻ってきます。
(住民税と違い、住む地域によって税金の金額は変わることはありません。)
※住民税も所得税も生命保険に加入していたり、1年間に10万円以上の病院代(保険適用)がかかっている場合にはもう少し安くなります。
社会保険料
あなたの手取りを考える上で一番重要になるのがコレです。社会保険。
社会保険が何かというと、健康保険証持っていますよね?病院代3割負担になりますよね?それ、社会保険(もしくは国民健康保険)の保険料を納めているからです。
あと、将来金額は大きくなくても年金もらえる予定ですよね?それも社会保険(厚生年金または国民年金のみ)の保険料を納めているからです。
他にもあるのですが、そういった諸々のものを合わせて社会保険と呼んでいます。
社会保険の扶養に入れるのは年収130万円以下なのです。
扶養から外れてしまうと自分のパート先でかけてもらわなければいけないのですが、これが高い。
社会保険に加入している会社なら半分会社が負担してくれるのですが、130万円ちょっと超えちゃったから自分で入ろう、と思うと20代、30代の方でも月に15,000円近い金額が引かれます。(地域によって多少金額に違いがあります。)
これが40代以上になると、介護保険料というものも払わなくてはいけないのでさらに800円とか900円とか上乗せになります。
年間にすると18万円...
税金なんて比じゃないですよね。
税金も社会保険も一切引かれたくない!
税金も社会保険も全く何も引かれたくないそんな場合は住民税のラインを考慮して100万円以下にに抑えて下さい。
月収83,000円程度で働けば996,000円になります。
なんのお金も取られたくない!なんて場合はこれがベストです。
手取りを最大にする場合まとめ
手取りを最大にしたい方はまとめると
夫の社会保険の扶養に入っていられる130万円未満に抑えていっぱいいっぱいまで働く!
自分は住民税と所得税を少し納めることになるが、社会保険料はかからない。
夫の扶養控除も今まで通り38万円受けられる。
ざっくりご説明しましたが、これが一番ベストだと思います!
もちろん社会保険に加入することでメリットもあるのですが、今ここでは割愛しておきます。
国は細かいことまで教えてくれないので、騙されて150万円ギリギリまで働いて手取りが減っちゃった!なんて悲しいことにならないように気を付けて下さいね。